コンピューターゲームの歴史で世界最初のエル・アヘドレシスタとは

2024年1月18日

世界最初のゲームはエルアヘドレシスタ

世界初のコンピューターゲームはエルアへドレシスタ

 今やスマホアプリからダウンロード( ファイル転送 )して、お手持ちの端末にインストール( 導入 )する事で誰でもカンタンに無料で遊べるオンラインゲームを始めとするコンピューターゲーム。

本来の「 ゲーム 」の定義( 物事の内容 )は勝敗の有る勝負ごとであり、オリンピックの競技や野球の試合なども含まれるが「 遊ぶこと 」もゲームと呼ばれる。

エル・アヘドレシスタ 」より引用↓

この装置は、史上初のコンピューターゲームと考えられている

【 引用ここまで↑出典:Wikipedia 】

さらに一般的には「 ゲーム 」と言うだけで、コンピューター( 電子式自動計算機 )を用いた「 コンピュータ・ゲーム 」も、定義に含まれる。

以上の定義から世界最初のゲームは何なのか?という事を突き詰めるなれば、コンピュータを用いないゲームなら、いにしえから伝わる“じゃんけん”や“鬼ごっこ”日本ならば「 蹴まり、百人一首 」などが昔から行われたゲームなのでは無かろうか。

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だが、本稿で探りたいのは電子式自動計算を用いた「 世界最初のコンピュータ・ゲーム 」だ!↓

1912年に発明されたチェスゲームが世界初だった

Quevedo 1917.jpg

 世界で最初のコンピュータゲームで、オートマタなる機械人形を作ったのはスペイン人の数学者兼、技術者の故「 レオナルド・トーレス・ケベード( Leonardo Torres Quevedo )」氏( 1936年没 )だ。

そのケベード氏が1912年【 明治45年 】に発明したのがオートマタのチェスゲーム、「 エル・アへドレシスタ 」( スペイン語でチェスプレイヤー )である。↓

El Ajedrecista de Leonardo Torres Quevedo 02.jpg
By User:OleaCC0

上の画像こそが、人類史上初のコンピュータ・ゲーム「 エル・アへドレシスタ 」である。

電気で動く機械人形( オートマタ )がチェスボード上の駒の位置を識別し、次の一手を計算して自動的にアームを動かして駒を移動させるチェスゲームの完全自動装置である。↓

人手を介さずに動く純粋なオートマタ( 機械式の自動人形 )を使って対戦する相手に対して確実にチェックメイトを仕掛けることが出来る。

世界初のコンピューターゲーム 」より引用↓

100年前、スペインのエンジニア、レオナルドトーレスケベドは、歴史上最初のコンピューターゲームと見なされるものを作成しました。

【 引用ここまで↑出典:EL Efecto Tesla/2012年11月25日 】

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YouTubeなどで実際の動きを観察していると、日本にも古来より伝わる「 からくり人形 」を彷彿とさせるぞ!

さらにこの後、ケベード氏は1920年にも息子のゴンザロ氏と共同製作で、チェス盤の下に設けた「 電磁石 」を用いてチェスの駒自体を自動で動かす改良版も発表している。

現在も、このエル・アへドレシスタの初代機と改良版の2号機はスペインの首都、マドリードに有る工科大学「 Caminos,Canales y Puertos 」の中にある「 トレスケベド博物館 」に展示されており、実際に稼働もするのだという。

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エルアヘドレシスタはどうやって動いてるの?

 世界最初のコンピューターゲームである「 エルアヘドレシスタ 」は、どういう内部構造で動いているのだろう?という疑問が湧いた。

エルアヘドレシスタの内部構造と回路図
システムは完全にアナログであり、敵の動きを検出するセンサーと一緒にピースを動かす機械式アームを備えていました。( 中略 )
したがって、人間が黒い王を動かすたびに、この位置の変化により、マシンはプログラムされたものに基づいて2つのピースの動きを計算しました。
「 王へのチェック 」を探すアルゴリズム。
白い部分の基部には金属製のボールがあり、電磁石のおかげで、機械式アームを使用してテーブルの下に移動することができました。

【 引用ここまで↑出典:HipertextualSL/JJ Velasco2011年7月22日 】

つまり、完全アナログ回路でありながら機械を動かすためのプログラム( コンピュータに対する命令、処理を記述したもの )が、あらかじめ組まれているのだ。

そして、自分と相手の駒の動きをプログラムによって、チェックメイトするためのアルゴリズム( 手順の方法 )で計算してゲームを進める仕組み。

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オートマタ( 機械人形 )の腕は、電磁石によって動かしている内部構造になっているぞ!

世界初のコンピューターは1942年のABCという矛盾

 このエル・アへドレシスタは「 電気機械式の自動装置 」であるが、世界的には歴史上初のコンピュータ・ゲームであると認知されている。

だが果たして、これが純粋なコンピューター[ Computer ]( 電子計算機 )と言えるのか?という疑念は尽きない。

何故ならば、ゲームではない純粋な世界初のコンピュータ自体が、この世に出てきた時期は1942年【 日本は戦時中の昭和17年 】のABC( アタナソフ&ベリー・コンピュータ )で、それまでの機械式の計算機だったのが初めて電子式で制御することが出来る様になったためだと言われているからである。

ちょっと話しが横道に逸れるが、ひょっとしてあなたは「 世界で最初のコンピューターは1946年のENIAC( エニアック )じゃね? 」と思われたかもしれない。

しかしこれは、1967年にハネウェル社がENIACの特許を所有しているスペリーランド社を訴えた裁判で1973年【 昭和48年 】に、「 ABCが世界最初の汎用電子式計算機のコンピュータである 」と言う判決が出て確定しているので、あしからず。

判決理由としては2つ有り、1つ目はENIACはABCのコピーで有ること、2つ目は米国の特許法で特許物を公開してから1年以内に申請しないと、その特許は無効になる定めとなっていたにも関わらず、ENIACの申請手続きは公開後、1年半経ってから行われたためである。

だが、ここで矛盾が出て来るのはコンピュータの定義である「 電子式自動計算機の概念( がいねん ) 」である。

ひょっとして、あなたは「 世界で最初のコンピューターが1942年の『 ABC 』なのに、その30年前の『 エルアへドレシスタ 』が世界初のコンピューターゲームって…何か、おかしくね? 」と思われたかも知れない。

ウィキペディアでは「 電子式自動計算機( electronic computer/エレクトロニック・コンピュータ )」なるものが「 コンピュータ 」であると定義付けている。

という事は、世界初の電子式汎用自動計算機がABCで世界初の電気機械式自動計算機がエル・アへドレシスタという事になり、このどちらもがコンピュータで有るならば、世界初のコンピュータはABCでなくエル・アへドレシスタという事になろう。

しかしながら、ゲームを抜きにした機械式計算機の歴史は、さらに遡りイギリスの数学者チャールズ・バベッジ氏【 享年79 】による「 階差機関 」なる試作品が未完成ながら組まれていたのである。

AnalyticalMachine Babbage London.jpg
Bruno Barral (ByB), CC 表示-継承 2.5

チェスの世界王者を倒したディープ・ブルー

 さて、ここまでは世界で最初のコンピュータ・ゲームがチェスの機械式自動計算機だったと説明してきた。

その後コンピュータの基本性能は驚異的な発展を遂げ、今やルーチンワークなどの単調作業はAIコンピューターが人間の仕事を奪うとまでに言われて久しい。

あなたは今から20年前の1997年に、コンピューター製品及び、それに関連したサービスを提供する企業、IBMの制作したチェスプレイ専用のスーパーコンピュータ、その名も恐怖の「 ディープ・ブルー 」が人間の知能に勝利したというニュースを御存知だろうか?

当時のチェス界の世界王者であったロシア人の「 ガルリ・キーモヴィチ・カスパロフ 」氏( 現在政治家 )【 54 】が人類代表で挑んだIBMのスパコン「 ディープ・ブルー 」と対戦することになり、僅差では有るがコンピュータが人間を打ち負かしたのである。

実はカスパロフ氏はディープブルーとの1996年の対戦では勝利しており、更にディープブルーの前身であるディープソートとの対戦にも勝利している実力者であった。

だが、そのスパコン、ディープ・ブルーの中に組み込まれているカスパロフ氏自身の膨大な過去の打ち手のデータを素に1秒間に2億回の先読み計算を行うコンピュータの実力が1枚上手で有ったのは言うまでもない。

このディープブルーは現在、解体され筐体だけはアメリカのカルフォルニア州にある「 コンピュータ歴史博物館 」に展示されている

ちなみに、このIBMはエル・アへドレシスタが発明される前年の1911年6月16日に3つの企業の複合会社としてアメリカのニューヨーク州に設立されている。

史上初のTVゲームはEDSACのチックタックトー

 EDSAC( エドサック )によって作られた「 世界で最初のテレビゲーム 」に付いて。

インターネットの情報では世界初のテレビゲームは1959年の「 迷路のネズミ 」であるとか、1958年の「 Tennis for two 」だとか様々な主張をされているサイトも多く見受けらるが。

本当の世界最初のTVゲームはEDSACが1952年【 昭和27年 】に発表した「 チック・タック・トー 」[ TicTacToe ]で、いわゆる○×の三目並べである。↓

EDSAC( エドサック )は1949年【 昭和24年 】に英ケンブリッジ大学のモーリス・ヴィンセント・ウィルクス氏【 満97歳没 】が作ったコンピュータで「 実用的な 」プログラム内蔵方式のマシンとしては世界初だと言われている。

チック・タック・トーのゲームを作ったのは当時、ケンブリッジ大学の学生だったサンディーダグラス氏【 88歳没 】であった。

これは、9つのマス目の中に○か×を書き込んで行き、先に3つ縦横斜めいずれかのラインに自分の持つ記号を3つ並べた方が勝ちとなるルールだが、少しやれば、どうやっても「 引き分け 」になるので、すぐ飽きる。(^_^;)

別に、TicTacToeをDisるつもりは毛頭ないが、このゲームのアプリの評価が☆☆2つと低評価なのはライン作業の様に単調過ぎるゲーム性に「 飽き 」が来るためでは無かろうか。

世界初のビデオゲームはコンピュータースペース

 商業用ビデオゲーム( いわゆるゲーセン )の世界初の商品は言わずと知れた1971年【 昭和46年 】発売のナッチング・アソシエイツ社製の「 コンピューター・スペース( Computer Space )」だったが、当時は操作性が良くなかった為に鳴かず飛ばずで有ったらしい。

コンピュータースペース・ゲームを手掛けたのが後の米Atariの創業者で「 ビデオゲームの父 」と呼ばれたノーラン・ブッシュネル氏【 74 】だった。

閑話休題、( それはそうと )この私め、チェスのルールは知らないが、それでもなお1回位は今でも現役で動く世界最初のコンピューターゲーム、「 エル・アへドレシスタ 」と勝負してみたいものである。^^

幼い頃からTVゲーム好きの私めとしては一回はゲーム関連の記事を、したためてみたかったので本稿を作成した次第である。

結論は電子計算機でなくても、機械計算式の「 エル・アへドレシスタ 」が世界初のコンピュータ・ゲームだと言う事は「 機械式の自動計算機 」であっても、それがコンピュータであるという定義が成り立とう。